焚き火とナイフ、それはキャンプの原点のような道具です。
芸人ヒロシさんの静かなキャンプスタイルに惹かれ、私も一人キャンプを始めました。
その中で出会ったのが、ノルウェーの名品「HELLE ディディガルガル」。
“道具に頼りすぎず、でも信頼できる一本を持ちたい”──そう考えるシニアにとって、このナイフは果たして相棒となりうるのか?
私自身が実際に使ってみた経験から、その魅力と課題を語ってみたいと思います。

1. 「HELLE ディディガルガル」──ヒロシさんがこのナイフを選んだ理由とは
HELLE(ヘレ)は、北欧ノルウェーの老舗ナイフメーカー。1932年にノルウェー西部の町、ホルメダールという土地で誕生しました。その中でも「ディディガルガル」は、アウトドア愛好家のディディ・ガルガル氏と共同開発されたモデルです。芸人ヒロシさんが愛用していることで日本でも知られるようになりました。
全長約22cm、刃渡り約10cm、重量は140g前後。シース(革製のケース)付きで携帯性も高く、刃は3層構造のラミネートスチール。刃持ちが良く、砥ぎ直せば長く使える仕様です。
ヒロシさんがこのナイフをお持ちなのは、誕生日祝いに友人からプレゼントされたとのお話でした。このナイフのたたずまいがヒロシさんの武骨キャンピングスタイルに合うとのお友達の見立てによるものでしょう。「研ぐ楽しみがある」「木を削るときの感触がいい」といった“無骨でいて繊細”な魅力があるからなのでしょう。私自身も、その感触に惚れ込んだ一人です。
2. シニアの私が使ってみた感想──使いやすさと“ちょっとした怖さ”

私がこのナイフを初めて手に取ったのは、一人キャンプに憧れ始めた四年前。もちろん、ヒロシさんが愛用している姿を見てからです。
まず感じたのは、「これ、道具というより相棒になるかもしれないな」という感触。持ち手は木製で、すっと手に馴染む。滑らず、構えたときに安定感があります。
バトニング(薪割り)などのヘビーな作業にも、枝を細かく割る繊細な作業であるフェザリングにも、いろんな対応が無理なく出来る──手にしっかりと乗ってくれるので、落とす心配もなく非常にバランスがいい、そう感じます。
これはシニアにとって大事な要素、この道具が自分を助けてくれるかどうか、ディディガルガルはその点で、信頼が置ける一本だと思います。
一方で「刃物は油断すると危ない」という、懸念というか原点も思い出させてくれます。手入れや収納、扱い方を誤ると、事故にもなりかねません。だからこそ、自然と丁寧に接するようになり、それがまた心地よいのですよね。
3. HELLEナイフがシニアに向いている理由──“急がない”キャンプの相棒です
若い頃のキャンプは、スピードと効率が求められるものでした。
ところが年を重ねた今、キャンプの時間は「急がない」ことが何よりの贅沢 (まぁ、「急ぐにも急げない」のが事実ですが)。ナイフもまた、急がせない道具が良いと思うのです。
ディディガルガルの刃は、力任せに切るタイプではありません。切るというより「削る」「整える」感覚に近いと思います。フェザースティックを作るとき、節のある枝を削るとき、刃が木と会話しているような時間が流れます。
これは、ちょっと子どもの頃の「彫刻刀遊び」にも似ています。木の感触が楽しく、つい集中してしまう。年齢に関係なく、こういう“無心になれる時間”をくれる道具は貴重です。
さらに、木のグリップは経年変化も楽しめます。使い込むうちに味わいが増し、自分だけの色になる。時々、私はクルミの実をつぶしてできる油を塗って手入れをしています。そんな時間もまた、道具と自分を整えるような営みです。

4. 「HELLEナイフと共にある時間」を支えるおすすめ道具いろいろ
私がこのナイフと一緒に使っているお気に入りの道具をいくつかご紹介します。
• ピコグリル398(焚き火台)
焚き火を起こす際の設営のしやすさ、持ち運びの軽さ、撤収のしやすさ、この一連の魅力がヘレナイフと合います。

• ファイヤーブラスター(火吹き棒)
炎の勢いを微調整するために、火を起こした後の“育てる時間”がもっと楽しくなります。
• ヒロシノコギリ(サムライノコギリ)
少し太めの枝を切るときはノコギリが便利。ナイフで加工、ノコギリで切断という使い分けで、安全性も向上。
・自作パラコード
自作することで、アクセサリーとして愛着も湧くし、何より目立つので、紛失防止に役立ちます。写真をご覧ください。
5. 刃物との付き合い方──「怖い」ではなく「尊い」と思えるように
若い頃は「ナイフ=男のロマン」といった感覚もありましたが、シニアになると、少し違う感覚が芽生えてきます。
ナイフは道具であると同時に、「注意深くなるための装置」でもあります。扱い方を間違えればすぐにケガをする。だからこそ慎重になるし、火の近くで雑に扱わない。こうした所作のひとつひとつが、年を重ねた「身体と頭」にちょうどいい刺激を与えてくれます。
ナイフを握るとき、私はいつもヒロシさんが多分、言ったであろう言葉を思います──「無理せず、自分のペースで」。
それは火でも、道具でも、人生でも同じことかもと、エラそうに思います。

おわりに──シニアの“静かな冒険”に必要なのは「良い道具」と「余白」
HELLEのディディガルガルは、派手さはありません。
けれど、しっかりと削り、静かに寄り添ってくれるナイフです。
ヒロシさんがこのナイフを愛用しているのも、その“誠実な静けさ”にあるのだと思います。
私自身、シニアキャンパーとしてこのナイフを手にしてから、キャンプへの「思い」が変わりました。
何かを「する」ことよりも、「待つ」「感じる」ことが増えました。
刃物を恐れるのではなく、敬意をもって扱う──
それは自然との関わり方、人との距離のとり方、そして自分自身との付き合い方にもつながる、ーと思うのです。



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